コラム
丹精込めて作成したメールマガジンが、意図せず読者の迷惑メールフォルダに振り分けられてしまう。メール配信を担当されている方であれば、一度はこのような課題に直面したことがあるかもしれません。開封率が伸び悩み、期待した効果が得られない状況は、非常にもどかしいものです。
迷惑メールと判定される原因は、送信元IPアドレスの評価（IPレピュテーション）や、送信リストの質など多岐にわたります。しかし、その中でも意外と見落としがちなのが、HTMLメールそのものに含まれる技術的な要因、すなわち「重さ（容量）」「URL数」、そして「構造エラー」です。
この記事では、なぜこれら3つの要素が迷惑メール判定に影響を与える可能性があるのか、その仕組みと具体的な対策について、より深く掘り下げて解説します。もし、あなたが「メルマガが届かない」という悩みを抱えているなら、この記事が解決の糸口になるかもしれません。
要因1：メールの「重さ（容量）」とは？
まず、メールの「重さ」がどのように決まるのかをご説明します。HTMLメールの総容量は、主に以下の要素の合計で構成されています。
- ヘッダー情報: 送信元や宛先、件名などの情報
- 本文（HTMLソースコード）: テキストの装飾やレイアウトを指定するコード。本文中のURL（リンク）が増えれば、その分コード量が増え、容量も増加します。
- プレーンテキストパート: HTMLメールを表示できない読者向けに、テキストのみの本文も用意することが一般的です。このように両方の形式を同梱する配信方法は「マルチパート」と呼ばれ、メールの到達性を高める上で非常に重要です。このテキスト部分も、メールの総容量に加算されます。
※マルチパート配信の重要性については、こちらのコラム「迷惑メール判定を回避！マルチパート配信でメールの到達率を上げよう」で詳しく解説しています。
「画像」の扱いはどうなる？
『さぶみっと！メール配信』では、メールの容量を抑え、読者の受信環境への負荷を考慮した「画像参照方式」となっています。これは、サーバー上に置いた画像のURLをHTMLソースに記述し、受信者がメールを開いた際に都度サーバーから画像を読み込む方式です。
「それなら、参照先の画像サイズはメールの重さに影響しないのでは？」と思われるかもしれません。しかし、参照先の画像ファイルサイズも、可能な限り小さくすることが極めて重要です。
その理由は、ファイルサイズが重い画像は表示に時間がかかり、内容が伝わる前にメールを閉じられてしまう可能性が高まるからです。 さらに、こうした（画像表示を待たずにメールを削除するなどの）行動は、受信側プロバイダに「望まれていないメール」というネガティブなシグナルとして捉えられ、将来的なメールの到達性に影響を与える可能性があるのです。
要因2：HTMLの「構造エラー」とは？
HTMLはタグを組み合わせて構成しますが、この記述方法の誤り（文法エラー）も、迷惑メール判定の一因となる可能性があります。
スパムメールを大量生成するプログラムは、しばしば質の低い、構造的に誤ったHTMLコードを出力します。そのため、迷惑メールフィルターは「HTMLの記述が不正確なメール」を、スパムの可能性があると判断する傾向があるのです。
特に注意すべきエラーは2種類あります。
- 不正な入れ子（タグの交差）: <A><B></A></B>のように、タグを正しい順序で閉じていない、明確なルール違反。
- 過剰な入れ子（ネスト）: ルールは守っていても、レイアウトのためだけに不要なタグを何重にも重ねることで、コードが不必要に長く、複雑になっている状態。
これらの「構造エラー」は、メールの表示崩れの原因になるだけでなく、迷惑メールと見なされるリスクも高めてしまいます。
要因3：過剰な「URL数」とは？
メール本文に記載されたURLの数も、迷惑メールフィルターは注意深くチェックしています。
その最大の理由は、偽のウェブサイトへ誘導して個人情報を盗み取る「フィッシング詐欺」への警戒です。こうした詐欺メールでは、受信者を騙すために、本文中に多数の無関係なリンクや、リンク先を偽装したURLが大量に記載されることが少なくありません。
そのため、迷惑メールフィルターは、本文中に不自然に多くのドメインへのリンクが散在しているメールを「フィッシングの疑いがある」と判断することがあります。
今日からできる！迷惑メール判定を避けるための具体的な対策
では、迷惑メールと判定されないために、今日から実践できる具体的な対策をご紹介します。
「重さ」と「構造」を意識した作成方法
- 画像の最適化
- 参照先の画像であっても、読者の快適な閲覧体験のためにファイルサイズを圧縮しましょう。見た目の品質を損なわない範囲で、専用のツールなどを使い軽量化することが重要です。
シンプルで正確なHTML構造を心がける
HTMLソースコードを不必要に長く、複雑にしないことも大切です。何より、タグを正しく閉じ、文法的に正しいHTMLを記述することが不可欠です。 例えば、以下のような「過度な装飾」は、ソースコードを肥大化させ、構造エラーを誘発する原因となります。
レイアウトを実現するための、過剰なタグの入れ子（ネスト）構造
一つのメール内での、何種類ものフォントや過剰な色使い
その他、不要なタグやスタイル指定の多用
シンプルでクリーンなデザインを意識することは、結果的にHTMLソースの軽量化と、文法的なミスを防ぐことにも繋がります。
「URLの数」を適切に管理する方法
- リンクは必要最小限に絞る
- そのメールで読者に伝えたい最も重要なメッセージは何かを考え、関連するURLに絞って掲載しましょう。
最後に：適切なメール作成で、読者に想いを届けよう
ここまで、迷惑メール判定に影響を与える「重さ」「URL数」「構造エラー」という3つの技術的要因について解説してきました。
「メール作成時には、HTMLの正確さやURLの数、そして参照先画像のファイルサイズまで意識することが重要である」
このポイントを、ぜひ覚えておいてください。
とはいえ、「HTMLの文法チェックまで手が回らない」「専門知識がないので不安」と感じる方も多いでしょう。
『さぶみっと！メール配信』は、まさにそのようなお悩みを持つお客様をサポートするメール配信サービスです。
『さぶみっと！メール配信』に搭載されている「HTMLエディター」は、専門知識がなくても直感的な操作でメールを作成できるだけでなく、内部で標準に準拠したクリーンなHTMLコードを生成します。これにより、利用者は意図せずHTMLの「構造エラー」を犯すリスクを避け、安心してメールを作成することに集中できます。
さらに、配信できるメールの容量を105,000Byte（約102.5KB）までとする「ガイドライン」を設けているため、自然と「重すぎるメール」を回避した、適切なメール作成に繋がります。
もし、あなたがメールの到達率に課題を感じているなら、まずはツールの力を借りて、「迷惑メールと判定されにくいメール作成」の第一歩を踏み出してみませんか。
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