インバウンド需要や越境ECの拡大により、ウェブサイトの多言語化はビジネス成長の鍵を握っています。一方で、多くのお客様を悩ませているのが「翻訳の質とコストのバランス」です。
「自動翻訳の精度は不安だが、プロへの依頼はリソースが足りない」――。
こうしたジレンマを抱えている担当者様は少なくありません。
近年のAI技術の飛躍的な進化により、サイト翻訳の手法は大きな転換点を迎えています。
本コラムでは、プロ翻訳者が実施した精度検証データをもとに、従来の機械翻訳「NMT(ニューラル機械翻訳)」と「生成AI」翻訳のそれぞれの実力を解き明かします。
また、これらを組み合わせた最新の「賢い運用法」についても詳しく解説いたします。
※機械翻訳(NMT)、生成AI翻訳、人力翻訳のそれぞれの基礎知識やメリット・デメリットについては、こちらのコラム「生成AI翻訳・自動翻訳・人力翻訳の違いと多言語化の最適解|ウェブサイト翻訳ツールの選び方」で詳しく解説しています。
今回の検証では、翻訳会社のプロ翻訳者が、国際的な翻訳品質評価の枠組みであるMQM(Multidimensional Quality Metrics)を指標の参考にして、採点を行いました。
検証では、英語、韓国語、中国語(簡体字)の3言語において、実際のウェブサイトで使用されているフレーズを対象に「情報の欠陥/過多(正確さ)」「誤訳(流暢さ)」「記号ミス」の3項目を軸に採点。
各フレーズを「3:完璧」「2:不自然だが伝わる」「1:伝わらない」の3段階で厳密にスコア化しています。
比較の対象とした「NMT:ニューラル機械翻訳」は、AI(ディープラーニング)を用いた従来の翻訳技術です。
圧倒的なスピードを誇り、現在多くの自動翻訳サービスで主流となっています。
検証後の比較では、NMTの採点結果を基準値(0)とし、生成AI翻訳の4つのモデルがNMTと比べてそれぞれどれくらい改善が見られたかを数値化しました。
検証の結果、ある生成AI翻訳のモデルでは、NMTに対し全言語で高い改善スコアを記録しました。
特にアジア圏の言語において、生成AI翻訳による精度向上が数値としても顕著に現れる結果となりました。中国語(簡体字)では200点以上、韓国語でも100点以上の差がついており、生成AI翻訳が単なる「言葉の置き換え」を超えて、文脈や言語固有のニュアンスをより正確に捉えていることが証明されました。
ただし、調査時点での4つの生成AIモデルを比較した、改善スコアの平均は以下でした。
英語に関しては、「記号ミス」(記号の抜け、過剰使用、誤用など)は全てのモデルでNMTを上回ったものの、情報の欠落の発生などから、NMTを下回る採点結果となる生成AIモデルもありました。
※調査を行なった時点での特定の生成AIモデルとの比較です。弊社オリジナルのプロンプトを利用しています。特定の1ページのテキストを個別に採点しています。
※英語は216フレーズ、韓国語、中国語(簡体字)は281フレーズに対して採点を行なっています。
数値としての差以上に注目すべきは、生成AIの「ワードチョイスの自然さ」と「業界標準への適合性」です。
単に「正しい」だけでなく、現地のユーザーにとって「馴染みがある」表現を選び出すプロセスにこそ、生成AI翻訳の真骨頂があります。
例えば英語翻訳において、日本語の「管理画面」という言葉を訳す際、従来の自動翻訳では「management screen」と直訳されがちですが、これでは日本語的なニュアンスが強く残ってしまいます。
生成AIは、膨大な学習データから「ウェブサービスの操作画面なら、英語圏ではdashboardと呼ぶのが最も一般的である」という最適解を導き出します。こうした用語チョイスの洗練度が、サイト全体のプロフェッショナルなトーンを高めることに繋がります。
ウェブサイトのボタンや項目名は、ユーザーの操作性に直結します。生成AI翻訳は、世界のウェブサイトの慣習を理解した訳を選択する傾向があります。
生成AI翻訳は、単なる「翻訳」を行っているのではなく、現地の文化やウェブサイトの慣習に基づいた「ローカライゼーション(現地化)」を行っていると言えるでしょう。
ワードの選択だけでなく、まとまった文章(パラグラフ)の比較においても、生成AI翻訳の優位性は顕著です。ここでは、サイトの「おもてなし」を左右する流暢さと、丁寧なトーンの維持について見ていきます。
以下の例文は、『shutto翻訳』のサービス紹介を英訳した際の比較です。
自動翻訳では「can...(できる)」や「just installing(単に設置する)」といった直訳的で硬い表現が見られます。
対して生成AI翻訳は、「enables you to...(~することを可能にする)」という自然な英語の構文を使い、「simply by adding(加えるだけで簡単に)」と、サービスのベネフィットをより魅力的に伝えています。
韓国語の検証においても、生成AI翻訳はウェブサイトという媒体の特性を理解した、ビジネスに相応しい丁寧さを実現しています。
以下の例文は、『shutto翻訳』のキャッチコピーを翻訳した際の比較です。
自動翻訳では、後半の「いますぐ〜」の文章などに情報の欠落が見られました。対して生成AI翻訳は、情報を漏れなく拾い上げるだけでなく、「あなたのサイト」をビジネスシーンでより自然な「귀사의 사이트(貴社のサイト)」と翻訳しています。
プロの翻訳者は「生成AI翻訳は、単なる直訳ではなく、ウェブサイトという媒体に相応しい丁寧な敬語や表現を自然に使いこなしており、企業の信頼性を高めるプロフェッショナルなトーンになっている」と高く評価しています。
今回の検証において、生成AI翻訳は従来の自動翻訳を大きく上回るスコアを記録しましたが、決して「100点満点」ではありません。
プロ翻訳者の視点からは、高度なAIであっても、ウェブサイトの目的やブランドの背景を「完全に」理解して訳出するには、依然として課題が残ることが指摘されています。
検証データおよび総評を精査すると、生成AI翻訳であっても以下のようなケースで改善の余地が見られました。
マーケティング上の意図の解釈(簡体字):「〜するだけ」といった日本語特有の限定表現が、文脈によっては突き放したような不自然な言い回しになるケースが確認されました。また、「オプション」という言葉が持つ「付加価値」としてのニュアンスが訳文に十分に反映されず、単なる「選択肢」として平坦に訳されるなど、サイト側が意図した「ベネフィットの強調」が弱まる可能性があります。
ウェブサイトのUIに最適化された表現の限界:生成AI翻訳は「文章」としての流暢さは非常に高いものの、ボタンやナビゲーションといった「限られたスペース」で、ユーザーの次のアクションを強力に促すための「コピーライティング」的な判断については、依然としてプロ翻訳者の感性に軍配が上がります。
多言語サイトの運用において、生成AI翻訳は強力な武器になりますが、すべてのページをAIに委ねるのにはリスクが伴います。企業の信頼性に直結する箇所や、一文字の差がコンバージョンを左右する重要なコンテンツにおいては、プロの翻訳者による「人力翻訳」や、機械翻訳やAIの訳文を人間が監修する「ポストエディット」の検討が必要です。
AIのスピードを活かしつつ、ブランドの品質を担保するために人間が介入する。この「適材適所の判断」こそが、海外ユーザーに信頼されるウェブサイトを実現するための最も現実的かつ誠実なアプローチです。
検証結果から見えてきたのは、手法をどれか一つに絞るのではなく、それぞれの特性を活かす「ハイブリッド運用」の重要性です。
株式会社イー・エージェンシーが提供する『shutto翻訳』では、これらの最新技術を一つのプラットフォーム上で使い分け、効率的かつ高品質な多言語サイトを実現する機能を開発中です。
『shutto翻訳』では、今回の検証でプロも認めた生成AIを活用した「生成AI翻訳」機能を2026年3月に提供予定です。
ベースとなる翻訳はスピーディーかつ全ページ一括で行えるモデルを利用し、ブランドの顔となる重要なページは管理画面上のボタン一つで「生成AI」によるさらなるブラッシュアップ。プロも評価した、高いレベルの洗練された翻訳文へ、手軽にアップデートすることが可能です。
これにより、コストを抑えつつ、必要な箇所にだけ高品質なリソースを投下するという、理想的な多言語運用が実現します。
高品質な翻訳を「宝の持ち腐れ」にしないための機能も充実しています。
海外SEO対策:翻訳されたページが検索エンジンにインデックスされる仕組みを提供します。
画像置換・辞書機能:画像置換や、社名・専門用語の統一を簡単に行えます。
自動更新機能:元のサイトが更新されると、追加されたコンテンツを自動で検出し、翻訳を反映します。
※多言語サイトのSEO対策については、こちらのコラム「多言語サイトのSEO対策とは?対応のポイントと注意点を解説」で詳しく解説しています。
今回の精度比較により、生成AI翻訳はもはや補助ツールではなく、サイトの品質を支える「頼もしい存在」へと進化していることが分かりました。
「意味が伝わればいい」という段階から、「現地のユーザーに信頼され選ばれる」サイトへのアップデートが可能になります。
『shutto翻訳』は、最新のテクノロジーを誰もが直感的に使いこなせる環境を提供することで、お客様のグローバルビジネスを誠実に支援いたします。
「機械翻訳のスピード」と「生成AIの表現力」を兼ね備え、まさに新しい多言語対応を検討されているお客様に最適です。AIが拓く新しい翻訳の質を、ぜひご期待ください。
『さぶみっと!』では、『shutto翻訳』の他に、ウェブサイトの回遊率向上に貢献するレコメンドエンジンも提供しています。ECサイトには『さぶみっと!レコメンド』、コンテンツサイトには『Contents Recommend』をご用意しておりますので、ぜひサービスサイトをご覧ください。
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